女装ブログ・小説

プリンセスがドレスを脱いだら…まなみちゃん
プリンセスがドレスを脱いだら…まなみちゃん
プリンセスがドレスを脱いだら…まなみちゃん
まなみはそっと鏡の前に立ち、息を呑んだ。 ふわり、と心まで包み込まれるようなそのドレスは、まなみが小さな頃からずっと憧れていた“お姫さまのドレス”そのものだった。淡いピンクは桜色よりも少しやさしくて、夢のなかに咲く花のよう。ドレスの胸元には、繊細なレースの刺繍と小さな花が一面に咲いていて、それらが光を受けて静かにきらめいていた。まるで、まなみの「夢」がそのまま形になったようだった。 スカートは幾重にも重なるチュールが空気をはらみ、ふんわりと広がる。そのひとつひとつに縫い付けられた花は、丁寧に手で作られたのがわかるほど細かく、花びらの一枚一枚がまるで本物のようにやわらかだった。 まなみは、両手で胸元をそっと押さえ、喉の奥がじんわり熱くなるのを感じた。 ずっと憧れていた。絵本の中のプリンセス。通りすがりのブライダルショップのショーウィンドウ。テレビで見た誰かの挙式。小さなころから、ただ一度でいいから――「綺麗だね」って言ってもらえる日が来たら、と思っていた。 その日が、いま、ここにある。 ・・・